煙草を吸う女
 喫煙所に着いても俺は懸命に話しかけた。道中に自販機で缶の炭酸飲料を購入して飲みながら。一服している間は沢口さんは気だるそうに首を傾げたり、頷いたりして俺の話を聞いていた。まるで興味を持たれていないのはわかっていたが、思っている以上だった。普段営業で粘り強さは鍛えられているが、こと人間関係においてはへこむ。好きな人なら尚更。

 沢口はふとぼんやりとした瞳がどこか懐かしむ様な影を落とした。俺はその様子を観察するように眺めていた。沢口さんはいつも疲れているが、非常に表情の起伏が少ない。しかし、表情には出ないだけでかなり色々考えている。だからこそ少ない情報で読み取ろうとしないと、おおよそ彼女がどう思っているかがわからなくなる。沢口さんは煙を吐き出して、俺に話しかけた。
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