煙草を吸う女
「最近の若い子は煙草吸わない人多いけど、昔は混みあって賑やかだったのよ」
「そうなんですか。まあ時代ですよね」
「本当にそう。でも煙草も一つのコミュニケーションツールとして便利だった。全然知らない課の人とも話せて色々教えてもらえたりしたしね」
「結構沢口さんも他部署に知り合いできたんですか?」
「……まあ、色々」

 その点本当に羨ましい。沢口さんはそこで言葉を切って、短くなった煙草を灰皿に捨て、もう一本新しい煙草を取り出しライターで火をつけた。じゅ、と先端の焼ける音と匂い、煙が一気に襲って俺は噎せた。沢口さんはにやりと、意地悪く笑って、

「お子様にはまだ早いか」

 明らかに揶揄う声色に対抗するように言い返す。

「いや、俺もう直ぐで二十三になりますけど」
「私にとってはひよこちゃんよ。まだまだ」
「なら社会勉強にこのひよこを呑みにつれてって説教してくださいよ」

 ダメ元で誘ってみる。が。

「嫌よ面倒くさい」
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