もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
◇
少しの静寂が訪れて、キアラはおそるおそる目を開ける。
「あら……?」
違和感はすぐに気付いた。
(頭痛が消えた……!)
頭をかち割りそうな激しい痛みは、今では綺麗さっぱりなくなっている。それどころか頭がすっきりして、とても清々しい気分だった。
(今のは……。何か巨大な魔法……?)
レオナルドは呆然と目の前の令嬢を眺める。とても不思議な感覚だった。
リグリーア伯爵令嬢に触れた途端に、全身が焼け付くような激しい痛みが襲ってきた。
生まれて初めての感覚。戦場で多くの魔法を浴びてきた彼でも、その正体が何かは分からなかった。
「あ……」
「っ……!?」
二人の目が合う。
キアラは立ち上がりカーテシをして、
「先程は失礼いたしました。お気遣いありがとう存じます」
「あ、あぁ……。なにもなければ良いのだが……」
そのとき、彼はすぐに違和感に気付いた。
キアラの赤茶色の目は、真っ赤に変色していたのだ。
前世で見かけたときは、光の加減によって赤く見えることはあったが、ここまで美しいルビーみたいな見事な赤は初めてだった。
「お前、その瞳は――」