もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜





 少しの静寂が訪れて、キアラはおそるおそる目を開ける。

「あら……?」

 違和感はすぐに気付いた。

(頭痛が消えた……!)

 頭をかち割りそうな激しい痛みは、今では綺麗さっぱりなくなっている。それどころか頭がすっきりして、とても清々しい気分だった。

(今のは……。何か巨大な魔法……?)

 レオナルドは呆然と目の前の令嬢を眺める。とても不思議な感覚だった。

 リグリーア伯爵令嬢に触れた途端に、全身が焼け付くような激しい痛みが襲ってきた。
 生まれて初めての感覚。戦場で多くの魔法を浴びてきた彼でも、その正体が何かは分からなかった。

「あ……」

「っ……!?」

 二人の目が合う。
 キアラは立ち上がりカーテシをして、

「先程は失礼いたしました。お気遣いありがとう存じます」

「あ、あぁ……。なにもなければ良いのだが……」

 そのとき、彼はすぐに違和感に気付いた。
 キアラの赤茶色の目は、真っ赤に変色していたのだ。

 前世で見かけたときは、光の加減によって赤く見えることはあったが、ここまで美しいルビーみたいな見事な赤は初めてだった。

「お前、その瞳は――」
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