助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「ふう。調味料と塩漬け肉はあるみたいだし、後はなにか葉物とかが欲しいな。どう、チタ?」

 こういう時のためにも、メルには頼りになる相棒、チタがいる。絹エプロンのポケットで丸くなっていた彼を掴み、そっと地面に置いてやると軽快に走りだす。森というには疎らな木々の間を巡り、メルたちは食べられる食材を探した。

「チュイ!」
「あ、タンポポの葉だ。苦いけど肉と煮込めばまあ食べられるでしょ。マッシュルームもあったね、ありがと」
「チッチチ」

 しばらくあちこちを回ってみると、チタは自慢の鼻でいくつも食べられそうな食材を見つけてくれる。アスパラガス、クルミやブルーベリーなども生えていた。手持ちの籠がいっぱいになり、ドングリを見つけて一心に齧っていたチタを呼び寄せる。

「チタ、そろそろ戻ろう? 置いてっちゃうよ?」
「チー?」

 メルが声を上げると、残念そうにしょげたチタは肩に登った。山野が恋しい気持ちは分かるけども、自分から付いてきた以上今しばらくは我慢してもらわないと。
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