悪魔なあなたと結婚させてください!
アレクは言いながらバレッタを幸の頭につけてくれた。
後頭部でパチンッと音がして、しっかりと髪の毛が束ねられる。

それが再度購入したものではないことは、明白だった。
バレッタのあちこちにヒビが入っていて、それを金粉入りのボンドでつなげていたからだ。

あれだけボロボロになったものを直す手間は相当なものだったに違いない。
ジワリと幸の胸に暖かさが広がっていく。

人の優しさや愛情に触れるたびに、カサついていた心が潤っていくようだった。
「ありがとう」

ポロリと涙がこぼれた。
「また泣いてる」

アレクが苦笑いを浮かべる。
「だって……」

その後は言葉にならず、自分からアレクの胸の顔をうずめた。
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