めぐるの耽溺日誌

立花京治という男



「せ、生徒会…副、会長……?」


「なんだ、知らないのか?面倒くさいなぁ、説明するの……」



さっきまでの綺麗な笑みはどこへやら、向坂君は眉をひそめて溜息をついた。


初めて見る、少し好戦的な顔だ。




「な、名前だけは聞いたことあるよ!……でも、どうして……?」


「んー…彼が財閥の息子なのは知ってるかな?」


「あっ、それも、少しは……」


「まぁ、要は物凄い大金持ちなんだよ。それでこの学校にも親が大量の寄付金を払ってるみたいでね。それを利用してか、裏で相当悪いことをやってるらしいんだ」


「ど、どういうことを……?」


「自分の気に入らない生徒を裏でリンチしたり、他の奴にいじめさせて転校させた事もあったとか」




なんて酷い話だ。


噂でお金持ちだとは聞いてたけど、まさか裏でそんな事をしていたなんて……



「で、でも……!そんな人がなんで生徒会なんかに入れるの!?」


「だから言っただろ?金だよ、金。全部金で揉み消してるから、表に出ないんだよ」


「そ、そんな……」



現実にそんなこと、あっていい訳ない。

淡々と私にその事を告げると、にっこりと彼は笑みを作った。



「許せないだろ?だから、地獄に落としてやるんだ。あ、地獄に落とすって言っても、殺すとかじゃないよ?ただ、悪事を表に出させてやるのさ」


「確かに許せない、けど……わ、私が、なにかの役に立つのかなぁ…?」


「立って貰うよ。そのために俺と付き合うんだから」



ストン、と私の机から降りると、恍惚の表情で私に手を差し伸べた。

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