腹黒王子とめぐるの耽溺日誌


「はぁ……佐原君、めちゃくちゃ怒ってたよ……」


「気にすることないよ、何日か経てばきっと忘れてるさ」


機嫌が良さそうに話す向坂君とは対照的に項垂れる私。

結局、私が向坂君に適う訳もなく、泣く泣く佐原君に謝り倒してゲームショップに行く話は無しにしてもらった。

その時の佐原君のキレっぷりときたらとんでもない。
佐原君は中指を立てて「死ね!!」と迫真なセリフを吐き捨て、ドアを叩きつけるようにして去って行った。
まだ残ってたクラスメイトもギョッとしたように佐原君を見ていたよ。



「向坂君……こうまでして私を呼びたかった理由は……?」


「そりゃ、雪平さんと二人きりでデートしたかったからだよ?」


「…………」



嬉しいけど、それは今日じゃないよ…………

無言になっている私に、なにか察するものがあったのか「冗談だって」と向坂君は苦笑いをしながら言った。



「本当は谷口の所に向かおうと思ってね。証拠もぼちぼち集まってきたらしいし」


「え、しょ、証拠って……まさか……?」


「そう、生徒会が隠蔽していたことの証拠だよ」



ドクン、と心臓が跳ねるのが分かった。

(ついに、立花の悪事を皆に暴くことが出来るかもしれない)

もし、それが出来たら向坂君の復讐も無事に終わることが出来る。

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