お嬢様は今日も美しい
ずっと立ちっぱなしだし、お嬢様は大丈夫かしら? お疲れではないかしら。
これ以上長引きそうなら、椅子をお持ちして座っていただきたいわ。場所を移すのもいいと思う。他の生徒たちには関係なさそうですし。
「そして、次の日は教科書が破られていて……机の上に散乱していたんです」
ポロリと涙をこぼして話す男爵令嬢の背中を励ますようにさする王太子。
仲が良くて結構なことですわね。
「それで、誰か目撃者はいるのかい?」
「いえ、移動教室から帰ってきた時なので、誰も見ていないんです」
「そうか。他には?」
殿下は先を促す。
「あとは……ダンスの練習に使うドレスが、破られていたことがありました」
「ドレスか……個人のロッカーにしまうことになっているはずだよね。鍵も各々が管理しているはずだが」
そうですね。ドレスは個人の所有物なので管理は本人が責任をもって行うことになっている。ドレスは嵩張るし持ち運びも大変なのでロッカーにしまっているのが当たり前になっている。鍵をかけるのだって常識である。
「でも、鍵が壊されていて……ドレスがめちゃくちゃになっていて、授業で着れなかったんです」
男爵令嬢はその時のことを思い出したのか、ぐずぐずと泣き始めた。
「コレット……」
王太子も同情しているのか痛ましい顔をしている。
「俺もドレスを見せてもらったんだが、まるで憎悪に駆られたかのように切り裂かれて、無残な姿だった」
お前がやったんだろうとばかりに王太子は顔を歪めてギッとお嬢様を睨みつける。