お嬢様は今日も美しい
「鍵を壊された? 生徒会のほうには上がってきてないな。備品が壊れた場合の修理は学園でやってくれるが、報告だけでもこちらに上がってくるはず。だが、そんな報告は受けていないな」
「そうだったのか? そんなことは知らなかったから内々で済ませたんだが、コレットがいじめられていることを知られたくないって言っていたから」
「あの……ごめんなさい」
男爵令嬢がぺこりと小さく頭を下げる。
王太子の権限で学園側を丸め込んで口止めでもしていたのでしょうね。自作自演の線も含めて疚しいことがあるから、公にしたくなかったのかも。しっかし、何がしたいんでしょうかね。
「それで、その時の目撃者はいるのか?」
「いえ……人の気配なくて、その、気づいた時には、すでに破かれた後だったので」
これも目撃者なしとは都合がいいこと。
「それで、よくローシャス公爵令嬢がいじめていたと言えるな」
半ば呆れたように男爵令嬢を見遣る殿下は大きくため息をついた。
「だって、他に心当たりが……」
冷たく一瞥されて男爵令嬢の声がしりすぼみに小さくなっていく。
「ルーカス。これ以上、コレットを責めるな。一番苦しい思いをしているのは彼女なんだぞ。それなのに、否定ばかりしてコレットの言い分を聞こうともしない。それでも生徒会長なのか? 弱い者に味方をするのが当たり前のことだろう」
男爵令嬢を背に庇いながら王太子が捲し立てる。