お嬢様は今日も美しい
いい加減にしてほしいわ。
ないものをあると言われたお嬢様が気の毒すぎます。
清く、正しく、美しく、日々を過ごされているだけですのに。お嬢様は相変わらず無表情のままですので、感情を読み取ることはできません。
不貞というあらぬ疑いとかけられて、悲しんでいらっしゃらないとよろしいのですが。ちょっと、心配です。
「何を根拠にそんなことを? 王宮の庭園で二人でお茶? いつの話だ? 記憶にないが?」
こいつ何を言い出すんだと疑問符を張り付けた呆れ顔で王太子に目を向けた殿下。
ですよね。王宮にもご一緒する私も記憶にございませんが……記憶……
もしかして……何やら、引っかかるものが……でも、あれは……あれが……まさか……
と思った時には「あっ……」と声が出ていました。
小さな声のはずが、しんと静まり返ったホールに存外に響いてしまった。
王太子に殿下とお嬢様、そして生徒たちの視線が私に突き刺さった。