お嬢様は今日も美しい

「恐れながらお答えしますと。王太子殿下がおっしゃっているのは、半年ばかり前の出来事だと思われます。元々は王太子殿下とのお茶会が開かれる予定でした。約束の時間になっても王太子殿下はお見えにならず……」

 先は言葉を濁して伝えると

「ああ、あの時か。一緒にお茶をしたのは間違いないな。だが」

「そらみろ。やっぱり」

 王太子の横やりが鬱陶しい。

「最後まで聞け。お茶はしたが、母である側妃も一緒だったんだがな」

「はっ? 馬鹿げた嘘をつくな。俺は見たんだぞ。お前とフランチェスカが親しそうに話をしているのをな」

「どこで見てたんだ? それにお茶会の相手はお前だっただろう。それなのに、婚約者の相手もせず何してたんだ」

「そ、それは……」

 もっともなことを指摘されて口ごもる王太子。
 藪蛇でしたね。

 はっきり言って心当たりはそれしかないのですよね。
 殿下とお茶をご一緒したのはその日だけ。

 それにお嬢様の隣にお座りになったのは側妃様でしたし、お嬢様も側妃様とお話になられていましたし、殿下とはほんの少しだけお言葉を交わした程度。

 なので、どこをどう見たら親しい間柄と取れるのか理解しがたい。色眼鏡で見るとそのように見えたのでしょうか。本当にくだらない。遠くから眺める暇があればとっとと姿を現せばよかったものを。

 怒鳴りつけたい気持ちを抑えながら私は王太子を睨む。

 第一王子と婚約者のいる公爵令嬢の恋愛スキャンダルかと色めき興味津々だった生徒たちの目が、冷ややかになっていく。




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