お嬢様は今日も美しい
「い、いや。それがきっかけで付き合うことになったんじゃないか。そうだろう? 俺の目はごまかされないぞ」
「何を血迷ったことを言っている。ローシャス公爵令嬢は王太子であるお前の婚約者だ。そのような相手に懸想するなどありえない。ましてや恋愛関係などと。バカも休み休み言え」
剣で空気を断ち切るように断言する殿下。
その通りなので私も無言で頷いた。
疚しさの欠片もなく堂々と言い切る殿下の姿に周りの空気がさらに冷えていった。
軽蔑の眼差しが王太子に向けられる。
日頃の行いの違いもありますが、モテていても令嬢と一定の距離を保っている品行方正な殿下と婚約者以外の令嬢と所かまわずイチャイチャしている王太子。それだけでも信頼度が違います。
お嬢様の婚約者が色ボケした王太子よりも殿下だったならばと思わなくはないですが……
「嘘だ。そんなはずはない。そ、それにこいつだって。フランチェスカだって笑っていたんだぞ。俺には笑みの一つもよこさないくせに。お前の前では笑っていた。それが何よりの証拠だ。お前もルーカスが好きなんだろう? 俺には話しかけることはないくせに、楽しそうにしゃべっていたではないか」
王太子が捲し立てた内容を私は唖然として聞いていた。