お嬢様は今日も美しい
「いい加減にしてくれないか。元々は、お前が約束をすっぽかしたのが原因だろう。一人で待つローシャス公爵令嬢を気の毒に思い、少しの慰めにもなればと母がお茶をともにしたのだ。俺はそれに付き添っただけのこと。それだけのことでなぜ不貞を疑われなければならない? このことが母の耳に入れば、ローシャス公爵令嬢の立場を慮り、さぞ心を痛めることだろう」
「……ぐっ」
側妃様まで出されたら黙るしかない。
側妃様を巻き込めば大事になることぐらいは察しがついたのでしょう。
こぶしを握り締めてわなわなと震えている王太子と侮蔑の色を浮かべる殿下。
殿下との接点は偶然とはいえあの日だけですからね。
「そんなにローシャス公爵令嬢との仲を疑うのであれば、調べてみるといい。学園から王宮まで徹底的にな。俺はいつでも協力するぞ」
自信たっぷりに口角を上げ笑みを浮かべた殿下を睨み返すだけの王太子。
どちらに軍配が上がるかは火を見るよりも明らかではありますが。
「それに、ここは断罪の場ではないし、婚約破棄をするような場でもない。そんな分別もつかないとは、王族として恥ずかしいこととは思わないのか」
「……」
殿下の叱責が飛ぶ。
もっともなことなので王太子もぐうの音も出ない。奥歯を噛みしめて殿下を睨んでいるだけ。そんな二人を顔色を伺うような瞳で交互に視線を動かす男爵令嬢。
お嬢様は相変わらずの無表情で無関心を貫いていらっしゃいます。