お嬢様は今日も美しい
「お嬢様、お疲れ様でございました。それと、なんのお力にもなれず申し訳ございませんでした」
不用意に漏らした私の一言がお嬢様に不利益をもたらす可能性があったことは否めない。お嬢様と殿下に救われたようなもの。お嬢様に申し訳が立たない。
「何を言ってるの。わたくしの与り知らぬところで、王太子殿下に誤解を受けていたんですもの。だから、ちょうどよかったのよ。おかげであらぬ誤解も解けたのだから。それよりも疲れたわ」
お嬢様の優しさが心に染みました。泣きそうになったけれど、そこはグッと耐えました。まだお役目が残っていますから。
「それでは、どこかで休憩を取りますか?」
「いえ、帰るわ。いつもより話をしてしまったから、横になりたいわ」
話疲れたとおっしゃるお嬢様の瞳が眠そうにとろんとしていました。
無口なお嬢様ですから、おしゃべりにも相当なエネルギーを使うようでお疲れになりやすい。確かに今日はいつもより饒舌でございましたから。
一言挨拶をと思いホールを見渡したけれど、殿下の姿も王太子も男爵令嬢も見つけることができなかった。
仕方なく、私たちはパーティー会場を退出すると帰路へとついた。