お嬢様は今日も美しい


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 あれから、一週間が過ぎ、やっと念願の婚約が解消された。

 破棄ではなく王太子の有責での白紙撤回となり、婚約そのものがなかったことになった。こちらとしてはお嬢様の経歴に傷がつかなくて何よりです。

「お嬢様、よかったですね。望みが叶いましたね」

「そうね」

 公爵邸のサンルームでお茶の時間。うららかな日差しのもと紅茶を嗜んでいたところに吉報が届いた。

 憂いが消えたためか、柔和な表情で口角が緩み微かに微笑むお嬢様も美しい。

 白魚のような白い指で茶器を操る優美な仕草や淡い金色の髪が陽光に溶け周りを金色の光で包む儚げな様は、まるで花の妖精のよう。

 他の侍女たちもボーと見惚れて手が止まっている。それは日常茶飯事のことなので、今更咎められることもありませんが。お嬢様も気にされておりませんしね。

 それは置いといて、あの件は翌日にも決定するかと思っていたので、一週間もかかってしまったのが、少々不満ではありますが。
 それでも、白紙となったのでヨシとするところでしょうか。

 なぜだか、あれだけ、派手に婚約破棄宣言していた王太子も渋っていたとか、わけわかりませんが。
 破談となれば、強力な後ろ盾がなくなるので正妃様と陛下もなかなか首を縦に振ることができなかったようですね。






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