恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
「櫻坂周辺の店や会社ばかりだな」

「じゃあみんな、再開発のための移転や廃業だったんですね。なるほど」
胡桃はスポンサー撤退の理由には納得した顔をした。

「だけど櫻坂の近くに商業施設なんて……正直ベリが丘らしくないような気がします」
「どうしてそう思う?」
「前に壱世さんも言ってましたけど、ノースエリアはどちらかというと歴史を大事にしてきたっていうか……櫻坂の近くに大型の商業施設なんて、反対運動が起こりそうです」
(はっきり言って私だって嫌だし)

「……だから箝口令が敷かれている、か」

『もしかしてまだオフレコだったかしら』

壱世のつぶやきに、胡桃もさきほどの柿崎の言葉を思い出した。

(市長が知らない再開発? 箝口令って、誰が?)


「帰りに寄りたいところがある」


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