恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
「今日はお茶を点てようと思っているの」
栗須邸で十玖子が言った。
「お抹茶……」
「何を期待しているのかだいたいわかるが、十玖子さんの茶会がラクなわけないからな」
明らかに和菓子を期待して目を輝かせる胡桃に、壱世が釘をさす。
「今日はカジュアルなお茶会にするから、そんなにかしこまらなくていいわよ。でも、せっかくだから着物には着替えましょう」
「あ、今日は柚木さんのお手伝い無しで着てみたいです!」
楽しそうな胡桃に十玖子が目を細める。
「壱世、今日はあなたも着替えなさい。用意はしてあります」
「は? なんで俺まで」
「お茶もあなたが点てなさい」
「なんで」
「たまにはお茶席に出ないと忘れてしまうでしょ」
壱世は「解せない」という顔で、渋々着替えに行った。
(着物、色気がある)
「どう答えればいいかわからないんだが……」
壱世に言われてハッとして赤面する。
渋い紺色の和装に着替えた壱世を見た胡桃の感想は例のごとく声に出ていた。
「どこに行くんですか?」
玄関で草履を履きながら胡桃が壱世に尋ねる。
「茶室。庭にある」
(このお家、どれだけ広いの?)
胡桃はこの家に来るたびに一度は驚いている。
栗須邸で十玖子が言った。
「お抹茶……」
「何を期待しているのかだいたいわかるが、十玖子さんの茶会がラクなわけないからな」
明らかに和菓子を期待して目を輝かせる胡桃に、壱世が釘をさす。
「今日はカジュアルなお茶会にするから、そんなにかしこまらなくていいわよ。でも、せっかくだから着物には着替えましょう」
「あ、今日は柚木さんのお手伝い無しで着てみたいです!」
楽しそうな胡桃に十玖子が目を細める。
「壱世、今日はあなたも着替えなさい。用意はしてあります」
「は? なんで俺まで」
「お茶もあなたが点てなさい」
「なんで」
「たまにはお茶席に出ないと忘れてしまうでしょ」
壱世は「解せない」という顔で、渋々着替えに行った。
(着物、色気がある)
「どう答えればいいかわからないんだが……」
壱世に言われてハッとして赤面する。
渋い紺色の和装に着替えた壱世を見た胡桃の感想は例のごとく声に出ていた。
「どこに行くんですか?」
玄関で草履を履きながら胡桃が壱世に尋ねる。
「茶室。庭にある」
(このお家、どれだけ広いの?)
胡桃はこの家に来るたびに一度は驚いている。