恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
「このお店の豆の宣伝してきますよ」
胡桃はペロッとイタズラっぽく舌を出して言った。
「ところで胡桃ちゃん、この前ビジネスエリアで全速力で走ってなかった?」
「え。見てたんですか? あの日は急遽撮影に必要な小物を取りに会社に戻らなきゃいけなかったんですよ、モデルさんの時間もあって大急ぎで。真面目に仕事してただけです」
「真剣な顔してたもんなー」
「ふっ」と、また壱世が笑っている。
この店で、壱世は気になったコーヒー豆を購入した。
「瓜生さんのオススメの豆ならきっとおいしいですよ」
「ああ。飲むのが楽しみだ」
「じゃあそろそろお昼にしましょうか」
胡桃が壱世を連れて入ったのは、清潔感はあるもののかなり古めかしい店構えの町中華だった。
赤い看板には【ふたば】と書いてある。
「子どもの頃、休みの日に父と二人のときは毎回ここでした。最近は町中華ブームで前より混んでます」
「こういう店は滅多に来ない」
「だと思いました。なんでもおいしいですよ」
胡桃はメニューを見ながらニコニコして言った。
「あら、くーちゃん。いらっしゃい」
店の中年女性が声をかけてきた。
この店では胡桃は「くーちゃん」と呼ばれている。
「おばちゃんこんにちは」
「あら、デート?」
胡桃はぶんぶん首を横に振る。
「ちがうちがう! 取材のネタ探し」
胡桃はペロッとイタズラっぽく舌を出して言った。
「ところで胡桃ちゃん、この前ビジネスエリアで全速力で走ってなかった?」
「え。見てたんですか? あの日は急遽撮影に必要な小物を取りに会社に戻らなきゃいけなかったんですよ、モデルさんの時間もあって大急ぎで。真面目に仕事してただけです」
「真剣な顔してたもんなー」
「ふっ」と、また壱世が笑っている。
この店で、壱世は気になったコーヒー豆を購入した。
「瓜生さんのオススメの豆ならきっとおいしいですよ」
「ああ。飲むのが楽しみだ」
「じゃあそろそろお昼にしましょうか」
胡桃が壱世を連れて入ったのは、清潔感はあるもののかなり古めかしい店構えの町中華だった。
赤い看板には【ふたば】と書いてある。
「子どもの頃、休みの日に父と二人のときは毎回ここでした。最近は町中華ブームで前より混んでます」
「こういう店は滅多に来ない」
「だと思いました。なんでもおいしいですよ」
胡桃はメニューを見ながらニコニコして言った。
「あら、くーちゃん。いらっしゃい」
店の中年女性が声をかけてきた。
この店では胡桃は「くーちゃん」と呼ばれている。
「おばちゃんこんにちは」
「あら、デート?」
胡桃はぶんぶん首を横に振る。
「ちがうちがう! 取材のネタ探し」