恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
「どこに行っても『ベリが丘びより』があるな」
「取材したお店には少しでも置いてもらえるようにお願いしてますから。市庁舎にもずっと置いてもらってるって知ってます?」
見上げる胡桃に壱世は黙りこむ。
「知らないんですね、表紙にまでなったのに。高梨さんはご存知でしたよ」
胡桃は冗談交じりに非難するような目で見た。
「今度から気にする」
「まいったな」という顔をする彼に、胡桃は笑う。
「次は? どこに行く」
「次は私も勉強したいところです」
笑顔の胡桃が壱世を連れて行ったのは、駅前に新しくできたカフェだった。
「もしかして」
胡桃は「えへへ」と笑う。
「覗いてたカフェです。来てみたかったのでちょうど良かったです」
店内は白を基調として黒い金属の脚とウォルナット材のような濃い茶色の天板でできたテーブルやカウンターがある。
壁のところどころにはコルクの板に貼り付けられた観葉植物がかけられ、すっきりとして明るい店内だ。
コーヒーの芳ばしい香りが漂っている。
「今っぽくて、ベリが丘っぽい」
席に着くと、胡桃はつぶやきながら店内を見渡した。
そして、バッグから手帳とペンを取り出して書き込んだ。
「仕事熱心だな」
壱世が感心と呆れの混ざったような声で言う。
「これは前に十玖子さんにも言われたみたいに、仕事兼趣味ってやつですね。なんだかんだで付き合ってもらっちゃってすみません」
「それは別に良いけど」
彼はメニューを見ている。
「今日は普通にデートだと思っていたから、そういう意味では残念だったな」
「取材したお店には少しでも置いてもらえるようにお願いしてますから。市庁舎にもずっと置いてもらってるって知ってます?」
見上げる胡桃に壱世は黙りこむ。
「知らないんですね、表紙にまでなったのに。高梨さんはご存知でしたよ」
胡桃は冗談交じりに非難するような目で見た。
「今度から気にする」
「まいったな」という顔をする彼に、胡桃は笑う。
「次は? どこに行く」
「次は私も勉強したいところです」
笑顔の胡桃が壱世を連れて行ったのは、駅前に新しくできたカフェだった。
「もしかして」
胡桃は「えへへ」と笑う。
「覗いてたカフェです。来てみたかったのでちょうど良かったです」
店内は白を基調として黒い金属の脚とウォルナット材のような濃い茶色の天板でできたテーブルやカウンターがある。
壁のところどころにはコルクの板に貼り付けられた観葉植物がかけられ、すっきりとして明るい店内だ。
コーヒーの芳ばしい香りが漂っている。
「今っぽくて、ベリが丘っぽい」
席に着くと、胡桃はつぶやきながら店内を見渡した。
そして、バッグから手帳とペンを取り出して書き込んだ。
「仕事熱心だな」
壱世が感心と呆れの混ざったような声で言う。
「これは前に十玖子さんにも言われたみたいに、仕事兼趣味ってやつですね。なんだかんだで付き合ってもらっちゃってすみません」
「それは別に良いけど」
彼はメニューを見ている。
「今日は普通にデートだと思っていたから、そういう意味では残念だったな」