両手から溢れる愛を
目があったまま、三島もなぜか動かなくて。
それは時間にしてどれほどだったのか。
長いような短いようなよくわからない時間をふわふわと漂って、どこか膜に覆われたみたいに雨の音が遠のく。
それなのに雨の匂いに混じって、三島の家の柔軟剤の香りが、やけに鼻をついた。
ぴくりと、一瞬三島が動いたような、そんな気がしたその瞬間──
────ドォーーン
薄暗い雲に覆われた空が、フラッシュに包まれた。
そう思った時には、すでに爆発のような音を出した雷がびりびりと空気を震わせていて。
「……っ!」
それに驚いてびくりと身体が震えたおかげで、我に返った頭がようやく動くという行動を思い出したのか、弾かれたように距離を取る。
雨の轟音を一気に拾い上げる耳。
三島も立ち上がったのがわかったけれど、そちらを見れなくて。でも三島もこっちを見ていないことはなんとなく肌で感じていた。
お互いに無言の中、古びた軒を叩く雨の音だけが響いていた。