両手から溢れる愛を
「へ? そなの?」
「おー」
「なら何で待ってるの?」
「別に」
つ、つよい。
まるでさっきの三島の返しを気にしていないかのように続く会話に、私の方が何か削られていくような気がする。
「本当に持ってるの?」
「は?」
「傘、ほんとに持ってるのかなーって」
「……持ってるよ」
「じゃ、見せて」
にっこりと笑いながら打たれたジャブからのフック。見事なワンツーだ。
「……はぁ、ほら」
もはや何も返す気がないのか、打たれるがままに傘置きから傘をとった三島。
これでいいだろと断ち切ろうとしたのを、見逃す女の子ではない。
「……あ、待って」
「?」
どうしたんだろう?
「あたし、傘忘れちゃったんだった」
……そ、そうきたか!
てへっと笑うその子の切り返しに、恋愛偏差値の違いを見せつけられたようで、ごっそりと何かが削られる。
それは気力のような、女子力のような、とにかく全てひっくるめた何かが。