両手から溢れる愛を

強まる雨の中、ゆっくりと歩き出す。


──三島、一緒に帰るのかな。


自分でそうするように仕向けたくせに、なに悲しんでんだろ。


傘を貸せばよかった。

これで帰れるでしょと言えばよかった。

三島、一緒に帰ろうって。

他の子なんか気にせずに、言えばよかったのだ。


ドドドドっと、もはや何の音なのかよくわからないくらいに強くなった雨に、一旦雨宿りしようと辺りを見渡せば、掠れて見えづらくなった"たばこ"の文字。


その軒下に取り敢えず入り込んで、雨を凌ぐ。


相変わらず寂れたシャッターが降りているそこは、この間、三島とキスしそうになった、あの場所だ。


そう、キスしそうになった。
なったのだ。誰が何と言おうと、絶対キスしそうになってた!


なのに、なのに〜!!


「三島の意気地なし! 思わせぶり野郎〜〜〜!!!」


本当に意気地なしなのは、今更キスしたかったことに気づいた私の方だ。

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