両手から溢れる愛を
「は、はぁ!? バカってとこからしか聞いてないって言ってたじゃん!」
「そりゃあんなの盗み聞きしてましたとか言えねぇだろ!」
あんなの!?
あんなのって……どんなのだったっけ!?
思い出す。いや、思い出さなくても覚えてる。
だって、あのとき言ったのは。
「……もしかして、あれも」
「え?」
「あれも、聞いてたの!?」
「あれ?」
言うのが恥ずかしくて遠回しに聞いてるのに、こんな時だけ察しが悪いのは何なの!
「だから! その、回数、数えてる……こと、とか」
相合傘の、とまでは言えなかった。
萎んだ声を雨音が上書きする。
聞こえたのか心配で、てかむしろ聞こえてなければ良いと、知りたい気持ちとは矛盾した気持ちが湧き上がる。
「……おぉ」
でもそれは顔を赤くしながら呟いた三島によって、見事にぶち壊された。
「さ、さいってぇーー!!!」
ありえないありえない!
あんなのが聞かれてたなんて恥ずかしくてどうにかなる!
「だから聞かなかったふりしたんだろ!」
「だったら最後まで貫き通してよ!」
「それはごめん!!」
はぁはぁとお互いに声を荒げて、それに負けじと軒を打つ雨の音が強くなった気がした。