両手から溢れる愛を

「あーもー恥ずかしっ。氷川にとっては何てことないかもしれないけど! そんなのわかってるけど! それでも俺はあの時からめちゃくちゃ意識してたのに! 思わせぶり、良くない!」

「ご、ごめん」

勢いに圧倒されて、そんなことないよと言えずに謝ってしまった。


「だからあの日、氷川が折りたたみ傘を見つけた時。めっちゃドキドキしながら相合傘しようと傘持ったのに、氷川がすげぇびっくりした顔するから」


あの日、初めて相合傘をした日だ。

……いや、去年の夏を合わせれば2回目か。


「だから、少しだけ凹んだ」
「……それはごめん」

でも言い訳させて欲しい。
あの時はほんとに急だったもん。


「それに、その後もこっそりと機会狙ってたのに、氷川全然隙ねぇし」

「隙?」

「たまには傘忘れるかも〜って期待して置き傘までして、いつでも傘貸せるようにめちゃくちゃスタンバってたのに。ぜってぇ傘忘れないし、てか折りたたみ傘まで持ってるし!」


ふぅぅとひとつ呼吸を整えた三島が、さっきまでの熱弁はどこへやら、急にキリッとした顔になった。


「だから俺が忘れればいいやってすぐに切り替えられたのはファインプレーでした」

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