両手から溢れる愛を
「で、昨日相合傘して帰ったはずなのに、今日は朝から怒ってて。こりゃなにかあったなと思ってたらドラマの話とかさ〜。あたしのドキドキを返してよ」
そんな言われましても……。
どちらかと言うと私の心の平穏を返してほしい。
「で、本当に何もなかったの?」
「……何もないよ」
「ふぅん」
意外そうに丸まった目がスッと細まる。
こうやって笑う時のみっちゃんは超危険だ。
「そういや、やけに好きでもないのに思わせぶりなことするなーって怒ってたね」
どきっ。
「何かと重ねちゃった?」
どきどきっ。
「そっ……」
「?」
「そんなこと、ないしぃ……」
「声ちっさ!」
ゲラゲラと笑い出したみっちゃんに、うわぁーと意味もなく声を上げる。
「本当にそんなことないもん! バカ、バカなの! 三島はバカなだけ! バカだからしょうがないのー!」
みっちゃんは三島とは断定してないし、こんな言い方じゃそういう思わせぶりなことがあったと言ってるも同然なのだけれど、それに気づけるだけの余裕は残念ながらこの時の私にはなかった。