両手から溢れる愛を

「誰がバカって?」
「ぎゃっ」


不意に後ろからかかった声に、喉から変な悲鳴が出た。


「三島おはよー」
「えっ、いつから!?」


いかにもやましいことを話してましたと言わんばかりの質問だけど、三島が食いついたのはそこじゃなかった。


「バカってとこから。おはよ」
「あ、おはよ」


振り返って、三島の顔を一瞬だけ見て、また前を向く。


とりあえずよかった!
バカってとこだけならよかった!

ほんの今さっきのところから聞かれてたみたいだから、相合傘だの回数を数えてるだの聞かれたくないことは無事守れたみたいだ。


「で、何がバカって?」


なんか、さっきから同じことばかり言ってるね?


「そんなこと言ってません」
「バカってとこから聞いたんだって」


めちゃくちゃ気にしてる。
めちゃくちゃ食いついてくる。


「知らないけど、バカってことはバカなんじゃない」


大体、まだまともに三島の顔も見れてない。

ていうか普通に話しかけられるのが信じられない。


「はぁ〜?」

はぁ〜?はこっちが言いたいんですけど!?

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