腹黒王子様の溺愛が規格外。
クラスメイトの女子たちがまた黄色い声をあげている。

だけど、頭の中に入ってこないぐらい、この人で胸がいっぱいになっていた。


ああ、この優しい表情……あの人に似てるんだ。


「じゃあ、迎えに行くからね」

「……えっ?」


ポツリとそんな言葉を捨てて、戻って行ってしまった。


冗談、だよね……?

でも、もしほんとに迎えに来てくれるのなら……。


私はあなたと、幸せになってみたいっ……。






放課後。

重い足取りで家に帰る。

この学園、私が通っているところはいわゆるお金持ち校。

御曹司や令嬢ばかりが通う。


私はちょっぴりお金持ちに“なった”のだ。


「おねーちゃん」

「っ……!!」


後ろから声をかけられて、ビクッと肩を震わせた。

決して、驚いたからではない。


その声の主が、とてつもなく恐ろしいからだ。


「帰り道?一緒に帰ろう」

「う、うん……あっ……でもね、私野菜買って帰らないといけないから……先帰っていいよ……?」

「ふふっ、手伝うよ!」


私とは対比的にタレ目で可愛らしい顔をしている、血の繋がっていない妹……陽菜だ。


この可愛らしい妹に、私はちょっとした嫌がらせを受けている。


元々、1人の弟がいた。兄弟とはかけがえのないもので、愛おしくて仕方がないものだと思っていた。


けれどちがう。この子にだけは、そんな感情抱けない——
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