腹黒王子様の溺愛が規格外。
下唇を噛み締め無理やり涙を堪える。

家まで急いで走って行った。


今日はまだ、お兄ちゃんもお母さんも帰ってくる時間じゃないはず……!


中学生の頃に使っていた大きなリュックに荷物を詰めて、秋ちゃんの家に行かせてもらおう……!!



そう決心して、家に着いた。

息を切らしながら、ゴクリと息を呑んで玄関の扉を開ける。


そして……私の目に入って来た。玄関にある、いないはずのお兄ちゃんの靴。


うちの門限は厳しく高校生なのに6時だ。


それまであと1時間ある。急げば、余裕で家を出れるはずっ……。



そう思い、リビングに行かずに階段を登ろうとしたその時だった。


ぎゅっと、お兄ちゃんに手首を掴まれたのだ。


「……帰って来たら、お兄ちゃんにただいま、だろ?」

「あっ……に、荷物重いから先に置いてこようと思って……ちゃんと、言うつもりだったよ……?」

「……そうか」


冷たい視線。陽菜ちゃんとお母さんほどではないけれど、この人もまた私の敵だ。


何考えてるかわからない、私を助けるどころか陽菜ちゃんに加担する。


この人ともまた、血は繋がっていない。この家族の中で唯一血が繋がっているのは、お父さんだけだ。

お父さんは優しい。けど、単身赴任中で家にはいない。帰ってくるのも一年後。


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