優しい愛で溶かされて
「どこにいるんだろ…」
デスクを確認するもおらず、会議室にもいない。半ば焦りながら休憩室を覗くと、そこには同僚の神崎さんと課長の姿があった。
____神崎 美織(カンザキ ミオリ)さん。彼女は一際目立つ美人で、それでいて愛嬌もあり、男女問わず人気の同僚だ。少し抜けているところがあって、必ずしも仕事が出来るとはいえないけれど、彼女にはそれを気にさせないほどの魅力がある。
私とは、まるで正反対な人。
引け目を感じて仕方ないけれど、今はそんなことで滅入っている場合では無い。話し中に申し訳ないけれど、仕事の話はしなくちゃいけないし…。
私は重い足取りで2人に近づき、そっと声を掛けた。
「あの、すみません…!」
私のか細い声に、課長と神崎さんがこちらに視線を向ける。課長はそんな私を視界に入れるやいなや、さっきまで緩んでいた明るい表情から急に色をなくした。
「昨日、課長から頼まれた資料の件ですが、」
「あー…」
一瞬、課長の目が泳いだのを私は見逃さなかった。
これは嫌な予感がする。
「作成し終えたのでご確認いただきたいのですが…」
「それね、もういいよ」
嫌な予感が的中した。