冷たい夜に、愛が降る
「でも、ここに通い始めてから、今まで一度も、俺のことをSNSに書き込む人いなかったし、みんないいクラスメイトだなって思ってるから、いずれはね、仲良くなりたいかな」
微笑んでわずかに細められた目が、少しだけ切なそうで。思わず、立ち止まった。
「……っ、きっと、みんな喜ぶよ!みんなも、御田くんと仲良くなりたいと思う!絶対!……あ、ごめんなさい、なんか、勝手に……」
変に感情的に、熱くなってしまった自分に少し恥ずかしくなって目を逸らす。
「ありがとう。やっぱり、いいね、香山さん」
「へっ……」
いいね?
一体、どこがどういいんだろうか。
「実は、香山さんとは、ずっと、話してみたいって思ってたんだ」
「えっ、私と!?」
衝撃すぎるセリフに思わず聞き返してしまう。
「うん。でも、香山さんが、俺といるの嫌っていうならやめるけど」
「いやなんて!!そんなことあるわけないです!!逆に、話しかけてもらえてありがたいというか……」
自分が大切だと思った人からは、誰からも必要とされて来なかった人生。
バイトで頑張るのもそうだけど、誰かに頼られるっていうのは、自分の存在が認められるみたいで嬉しい。
「じゃあ、香山さん、俺の最初の友達になってくれる?」
「もちろんですっ!」
国民のひんやり王子に、そんなことを言われて、断るわけがない。