冷たい夜に、愛が降る

「親想いなんだね、香山さん」


御田くんのそのセリフが、グサっと心臓に刺さる。


「次、御田くんの番!なんでこの学校?芸能コースある学校もあるよね?うちの学校、都心からはちょっと離れてるし」


心臓に刺さった痛みをごまかすように、今度は私が、御田くんに聞いてみる。


前々からちょっと気になっていたことではあるし。


「んー通信制の方が、いろんな世代の人と出会えるかなって。現に、うちのクラスにも何人かいるでしょ。まあ、まだあんまり話したことはないけど……役者って仕事を続けて行く上で、誰かの人生経験はすごく勉強になるし、芸能コースの学校に行くよりも、俺にとっていい刺激になるかもって思って」


「……仕事、好きなんだね」


まさか、御田くんがこんなに仕事一途な人だとは思わなかった。クールに見えて、心は熱いのかもしれない。
全然ひんやりじゃないかも、なんて思う。


「役者としてもっと成長して、もっと、いろんな仕事できたらなって思うんだよね」


「……えぇ、もう十分に思えるぐらい、御田くんたくさん色々出てるよ。御田くんを見ない日なんてないもん」


「今は、ね。現役高校生っていうのが珍しいから、おだてられてるだけ。技術は全然だから」


……そんなこと、ないと思うけど……。


「俺が高校生じゃなくなった瞬間、このままだと仕事は一気に減ると思う。確実に。新人はどんどん力をつけて出てきているし。だから、今できることは全部やっておきたくて。生き残れるように」


「どうして……そんなに……」


ただただ仕事が好き、なぜかそんな風には見えなくて、思わず声が出てしまった。
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