冷たい夜に、愛が降る

小4の頃、両親が離婚して、一時は、お父さんに引き取られたけれど、お父さんは、仕事の都合で海外への転勤が決まり、私は親戚の夫婦に預けられることになった。


その親戚の夫婦というのが、優子さんと達也さん。


でも、彼らが快く私の面倒を見てくれているわけではないことは、子供ながらに気が付いていた。


特に、奥さんの優子さんには、しょっちゅうため息をつかれ、ぶつぶつと何か小言を呟かれていた。


そして、極め付けはあの真夜中の日のこと。
あの日から、私は、それまで以上に、優子さんの顔色を伺うようになった。


できるだけ迷惑をかけないように。


ふたりに預けられてから2年後。
ふたりに念願の娘が産まれてからは、ますます空気になるように必死だった。


この家族の、邪魔をしないように。


それでも、この数年なんとか耐えられているのは、


『恋白、絶対迎えに来るからね』


お父さんがそう、約束してくれたから。


今が苦しくても、絶対に、また、お父さんと一緒に2人で暮らせるって、信じているから。
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