冷たい夜に、愛が降る
episode2

スクーリング参加から一週間後。


御田くんと出会って話してから、私の心は普段よりも爽やかな気持ちが続いていた。


来月のスクーリングも楽しみ。
御田くん、学校来れるかな?


いつものように、バイトを終え、通知チェックのためにスマホを開いた時だった。


画面に表示されたメッセージに、心臓がバクバクと音を立てる。


【優子さん : さっきあなたの父親から連絡があって】


続きはアプリを開かないと見られない。
スマホを持つ手が震えそうになる。


私を優子さんたちに預けて、2通ほど手紙のやり取りをしたけれど、それからお父さんから連絡が来ることはなくて。


久しぶりすぎる実の父に関しての連絡。


どうしよう。迎えに来るって話だったら。


ううん、期待してはいけない、と冷静になろうと深呼吸するけど、ずっとこの日を待ち侘びていたんだから無理もないと思う。


お父さんが迎えに来てくれるなら、すぐ、優子さんちを出る必要もないかもしれない。


一気にいろんなことで胸を膨らませながら、恐る恐る、画面をタップして、優子さんとのメッセージを開いた。


「……えっ」


その文面をみて、思わず声が漏れ出た。


血の気が一気に引いて、視界がぐわんと歪んだような気分。


嘘……だよね?
何かの、間違い、だよね?


【優子さん : さっきあなたの父親から連絡があって、再婚するそうよ。お相手の方のお腹には赤ちゃんもいるって。手紙が届いてる】


足の力が抜けて、その場でしゃがみ込んでしまう。
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