冷たい夜に、愛が降る

なんで?
わけが分からない。


お父さん、絶対迎えに来るって、また一緒に住むために頑張るからって……そう言ったのに。


お父さんは、私との約束を忘れてしまったの?
それとも、私のことはどうでも良くなってしまった?


今まで、お父さんが迎えにきてくれるってことだけが、私が頑張る糧だったのに。


早く、優子さんちから出て、帰ってきたお父さんを、新しい部屋で迎えるんだって思っていたのに……。


「……バカみたい」


私の人生、ずっとそうだ。


家族にも友達にも、期待して、裏切られて。
ううん。勝手に信じて期待した私が、全部悪いんだ。


あまりの絶望で、涙も出ない。


力が抜けて重くなった体をなんとか持ち上げて、カフェを出た。


きっと、優子さんたちも、私のお父さんが私のことを迎えに来てくれることを期待していたと思う。それなのに……。


これじゃ、ますます、あの家に居づらくなってしまう。
もっと……もっと、早くたくさん稼いで、出て行かなくちゃ。


それでも、高校生のバイトの時給なんてたかが知れている。
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