繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
温美は高校の後輩だ。美人で目立つ彼女は、高校に入学してきたときから、男たちに人気があった。ふざけた男たちにからまれているのを何度か助けて以来、らんぷやへ用もないのに来るようになった。
とはいえ、温美はランプに興味がない。あるのは平宮のことばかりで、店内を移動する秋也を追いかけ回しては彼の話をする。秋也が卒業したあと、平宮に勉強を聞きに行く生徒が増え、ますます忙しく働いているとか、そんな話だ。
平宮の話をする温美はどこかキラキラしていた。彼女は祖父母に育てられ、両親の顔も知らない。出会ったときは、蔑むような冷たい目をしていたのに、いつからか、優しい目をするようになった。そんな態度の変化に、秋也は一つだけ心配があった。
らんぷやの客から、温美が年上の男と一緒に単身向けアパートに入っていくのを見たという話を聞かされたのだ。
真っ先に、平宮の顔が浮かんだ。秋也は下校してくる温美をらんぷやの前でつかまえると忠告した。
『先生はやめろよ』
温美はすぐに意図がわかったのだろう。挑戦的な笑みを浮かべた。
『なんでダメって言ってんの?』
『立場を考えろ』
『なにそれ。秋也くんもみんなと一緒だよね。なーんにもわかってないんだ』
『バレたら退学になるかもしれないだろ?』
『別にいいよ。高校行かなくたって、選択肢がいっぱいある時代でしょ?』
『あいつだって辞めなきゃいけなくなる』
声を押し殺すと、温美はさみしそうな目をした。
『もういいんだよ。なんだっていいんだ』
温美はそう言うと、逃げるように走っていった。
とはいえ、温美はランプに興味がない。あるのは平宮のことばかりで、店内を移動する秋也を追いかけ回しては彼の話をする。秋也が卒業したあと、平宮に勉強を聞きに行く生徒が増え、ますます忙しく働いているとか、そんな話だ。
平宮の話をする温美はどこかキラキラしていた。彼女は祖父母に育てられ、両親の顔も知らない。出会ったときは、蔑むような冷たい目をしていたのに、いつからか、優しい目をするようになった。そんな態度の変化に、秋也は一つだけ心配があった。
らんぷやの客から、温美が年上の男と一緒に単身向けアパートに入っていくのを見たという話を聞かされたのだ。
真っ先に、平宮の顔が浮かんだ。秋也は下校してくる温美をらんぷやの前でつかまえると忠告した。
『先生はやめろよ』
温美はすぐに意図がわかったのだろう。挑戦的な笑みを浮かべた。
『なんでダメって言ってんの?』
『立場を考えろ』
『なにそれ。秋也くんもみんなと一緒だよね。なーんにもわかってないんだ』
『バレたら退学になるかもしれないだろ?』
『別にいいよ。高校行かなくたって、選択肢がいっぱいある時代でしょ?』
『あいつだって辞めなきゃいけなくなる』
声を押し殺すと、温美はさみしそうな目をした。
『もういいんだよ。なんだっていいんだ』
温美はそう言うと、逃げるように走っていった。