繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
それから数年後、就職祝いをくれると言う康代の家を訪ねると、奈江はテーブルの上に置かれた思いがけないものを見つけた。それは、遥希の結婚式の招待状だった。
康代は吉沢らんぷでビンテージランプを購入して以来、遥希の母親と仲良くしており、招待されたようだ。遥希の結婚相手は高校の同級生で、彼らは高校時代から交際していたらしい。奈江が彼と出会ったときには、彼には恋人がいたのだ。彼がもしかしたら自分に恋心を抱いているんじゃないかという幻想は、盛大な勘違いで恥ずかしかったのを覚えている。
結婚式に出るの? と聞いたら、康代はあいまいな困り顔を見せた。あまり行きたくないのかもしれない。康代も奈江と同じく、人付き合いが得意な方ではない。ああいう華やかな場所は気疲れするよね、と言ったら、そうそう、と康代はうなずいた。それきり、遥希の話を康代としたことはない。失恋したことも、どこか他人事のように受け入れていた。
大野川にかかる彼岸橋を渡り、商店街に向かう途中に、吉沢らんぷはあった。外観は10年前と変わらない。しかし、どこかひっそりしているように感じられる。
店の扉を眺めていた奈江は、しばらくしてそれに気づいた。店内が思うより暗い。以前は、出窓から黄昏色の光が柔らかく外に漏れていたのを覚えている。
康代は吉沢らんぷでビンテージランプを購入して以来、遥希の母親と仲良くしており、招待されたようだ。遥希の結婚相手は高校の同級生で、彼らは高校時代から交際していたらしい。奈江が彼と出会ったときには、彼には恋人がいたのだ。彼がもしかしたら自分に恋心を抱いているんじゃないかという幻想は、盛大な勘違いで恥ずかしかったのを覚えている。
結婚式に出るの? と聞いたら、康代はあいまいな困り顔を見せた。あまり行きたくないのかもしれない。康代も奈江と同じく、人付き合いが得意な方ではない。ああいう華やかな場所は気疲れするよね、と言ったら、そうそう、と康代はうなずいた。それきり、遥希の話を康代としたことはない。失恋したことも、どこか他人事のように受け入れていた。
大野川にかかる彼岸橋を渡り、商店街に向かう途中に、吉沢らんぷはあった。外観は10年前と変わらない。しかし、どこかひっそりしているように感じられる。
店の扉を眺めていた奈江は、しばらくしてそれに気づいた。店内が思うより暗い。以前は、出窓から黄昏色の光が柔らかく外に漏れていたのを覚えている。