繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
「はい。シェードが友梨さんに引き取られたんだってことも、猪川さんが教えてくれたんです」
「そうだったの。シェードはまだ遥希が亡くなったことを知らないんだけど……」
しんみりと目を伏せるが、すぐに彼女は気を取り直して言う。
「私、高山友梨って言います。娘は恵麻。私はよくここを散歩してるんだけど、あなたも?」
「近くに伯母が住んでて、私は時々」
「じゃあ、大野にお住まいじゃないのね?」
「私は昔から隣町に。マメは伯母が飼ってて、夏休みの間だけ、私が代わりにここで散歩してたんです」
「それで。遥希があんまり見ない子だって言ってたのは覚えてる。私のことは、遥希から?」
「あっ、実は伯母が遥希さんのお母さんと交流があって、それで……」
言葉をにごすと、友梨は困り顔で少しばかり笑う。
「ご存知なんですね……。そうですよね。結婚式の招待状を出したあとに別れたから、みんなが知ってるのはしょうがないことなんだけど。恵麻は遥希との子どもだって勘違いしてる人もいるんですよ? 主人は気にしてないって言ってくれる、ほんとにいい人で」
「優しいご主人なんですね。それに、かわいいお子さんですね」
恵麻はこちらの話を聞いているのかいないのか、シェードの背中をなでながら、退屈そうにしゃがみ込んでいる。
「ええ。遥希が亡くなって、落ち込んでる私を励ます主人が授けてくれた、とても大切な子です」
「そうなんですね」
「落ち込むなんて言って、遥希に別れを切り出したのは、私なんですけどね。秋也くんから聞いてない?」
「そうだったの。シェードはまだ遥希が亡くなったことを知らないんだけど……」
しんみりと目を伏せるが、すぐに彼女は気を取り直して言う。
「私、高山友梨って言います。娘は恵麻。私はよくここを散歩してるんだけど、あなたも?」
「近くに伯母が住んでて、私は時々」
「じゃあ、大野にお住まいじゃないのね?」
「私は昔から隣町に。マメは伯母が飼ってて、夏休みの間だけ、私が代わりにここで散歩してたんです」
「それで。遥希があんまり見ない子だって言ってたのは覚えてる。私のことは、遥希から?」
「あっ、実は伯母が遥希さんのお母さんと交流があって、それで……」
言葉をにごすと、友梨は困り顔で少しばかり笑う。
「ご存知なんですね……。そうですよね。結婚式の招待状を出したあとに別れたから、みんなが知ってるのはしょうがないことなんだけど。恵麻は遥希との子どもだって勘違いしてる人もいるんですよ? 主人は気にしてないって言ってくれる、ほんとにいい人で」
「優しいご主人なんですね。それに、かわいいお子さんですね」
恵麻はこちらの話を聞いているのかいないのか、シェードの背中をなでながら、退屈そうにしゃがみ込んでいる。
「ええ。遥希が亡くなって、落ち込んでる私を励ます主人が授けてくれた、とても大切な子です」
「そうなんですね」
「落ち込むなんて言って、遥希に別れを切り出したのは、私なんですけどね。秋也くんから聞いてない?」