繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
「じゃあ、遥希さんは嘘を信じたままだったんですか?」
友梨はそっとうなずく。
「でもね、私が決めたことだから、後悔はしてない。婚約破棄して、人生失敗したなんて言われたこともあったけど、全然失敗だなんて思ってない。主人に出会えて、恵麻が生まれて、本当に今はあの決断は間違ってなかったって思ってる」
そう力強く言う彼女だが、さみしそうな表情を見せてしゃがむと、シェードの頭をするりとなでる。
「シェードはね、遥希がフランスに行くから引き取ったの。もしかしたら、あの瞬間だけは遥希への未練があったのかもしれない。今でもね、少しはあるのかも。遥希には生きていてほしかったって。素敵な人に出会って、幸せになってもらいたかったって……」
消え入りそうな声でそう言うと、彼女は寄り添う恵麻を抱いて立ち上がり、どこか吹っ切れたような笑顔を見せる。
「秋也くんにはよく会うの? 私ね、彼のデザインするランプが好きだったの。私にも作ってって言ったら、そのうちな、なんて言われて、それっきり。もし、オーダーメイドのランプを作る日が来るなら、私を秋也くんのお客さんにしてって、伝えてくれない?」
「昔から、ランプのデザインを?」
「そうなの。ビンテージランプの販売も楽しいけど、ひとりひとりのお客さんの要望に合わせたランプを作るのも夢の一つだなんて言ってた」
「夢がたくさんあるんですね、猪川さんって」
「本当にそう。いつか、夢を叶えてほしいな。応援してるって伝えて」
「はい、必ず」
奈江が力強く快諾すると、友梨は「そろそろ行かなきゃ」と、頭を下げて立ち去った。
友梨はそっとうなずく。
「でもね、私が決めたことだから、後悔はしてない。婚約破棄して、人生失敗したなんて言われたこともあったけど、全然失敗だなんて思ってない。主人に出会えて、恵麻が生まれて、本当に今はあの決断は間違ってなかったって思ってる」
そう力強く言う彼女だが、さみしそうな表情を見せてしゃがむと、シェードの頭をするりとなでる。
「シェードはね、遥希がフランスに行くから引き取ったの。もしかしたら、あの瞬間だけは遥希への未練があったのかもしれない。今でもね、少しはあるのかも。遥希には生きていてほしかったって。素敵な人に出会って、幸せになってもらいたかったって……」
消え入りそうな声でそう言うと、彼女は寄り添う恵麻を抱いて立ち上がり、どこか吹っ切れたような笑顔を見せる。
「秋也くんにはよく会うの? 私ね、彼のデザインするランプが好きだったの。私にも作ってって言ったら、そのうちな、なんて言われて、それっきり。もし、オーダーメイドのランプを作る日が来るなら、私を秋也くんのお客さんにしてって、伝えてくれない?」
「昔から、ランプのデザインを?」
「そうなの。ビンテージランプの販売も楽しいけど、ひとりひとりのお客さんの要望に合わせたランプを作るのも夢の一つだなんて言ってた」
「夢がたくさんあるんですね、猪川さんって」
「本当にそう。いつか、夢を叶えてほしいな。応援してるって伝えて」
「はい、必ず」
奈江が力強く快諾すると、友梨は「そろそろ行かなきゃ」と、頭を下げて立ち去った。