繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
ずいぶんと自分に自信のある青年だ。奈江とは大違いだ。才能に溢れた人というのはうらやましいが、やはり、自分にはなれないし、なりたいとは思えない高慢さを感じてしまう。
「環生さんが社長になられたのは、猪川さんがらんぷやをやりたいからなんでしょうか?」
「大学卒業したら会社を譲るって、前々から言われてたんですよ。でも、らんぷやをやりたいからって感じではなかったですね。まあ、らんぷやの仕事は好きそうですし、違う仕事を視野に入れてるなら、それはそれでいいと思ってます」
「猪川さんはチャレンジするのが好きみたい」
「否定はしません。自分探しがしたいんですよ、きっと」
「自分探し?」
奈江が首をかしげると、環生がほんの少し身を乗り出して尋ねてくる。
「社名の由来、ご存知ですか?」
「社名って、ジェンデの?」
環生はただうなずく。
「聞いたことないです。どんな由来があるんですか?」
「秋也さんはね、悪魔なんだよ」
「悪魔……?」
愉快そうに目を細める環生の方が、よほど悪魔に見える。そんなふうに思ってしまうほど、彼は冷淡に笑う。
「そう、悪魔。優しい悪魔なんだ、彼は。そうは思わないですか?」
同意を求められても困る。奈江が知る秋也はほんのわずかだ。そのわずかに心惹かれた。もし、自分の知らない部分に悪魔の要素があると知ってしまったら、この心はどうなってしまうのだろう。
考えたくない。だから、恋愛は面倒だ。心が不必要に揺さぶられて、疲労してしまう。やはり、秋也とは友人未満の関係でいい。そう逃げたくなる。
「環生さんが社長になられたのは、猪川さんがらんぷやをやりたいからなんでしょうか?」
「大学卒業したら会社を譲るって、前々から言われてたんですよ。でも、らんぷやをやりたいからって感じではなかったですね。まあ、らんぷやの仕事は好きそうですし、違う仕事を視野に入れてるなら、それはそれでいいと思ってます」
「猪川さんはチャレンジするのが好きみたい」
「否定はしません。自分探しがしたいんですよ、きっと」
「自分探し?」
奈江が首をかしげると、環生がほんの少し身を乗り出して尋ねてくる。
「社名の由来、ご存知ですか?」
「社名って、ジェンデの?」
環生はただうなずく。
「聞いたことないです。どんな由来があるんですか?」
「秋也さんはね、悪魔なんだよ」
「悪魔……?」
愉快そうに目を細める環生の方が、よほど悪魔に見える。そんなふうに思ってしまうほど、彼は冷淡に笑う。
「そう、悪魔。優しい悪魔なんだ、彼は。そうは思わないですか?」
同意を求められても困る。奈江が知る秋也はほんのわずかだ。そのわずかに心惹かれた。もし、自分の知らない部分に悪魔の要素があると知ってしまったら、この心はどうなってしまうのだろう。
考えたくない。だから、恋愛は面倒だ。心が不必要に揺さぶられて、疲労してしまう。やはり、秋也とは友人未満の関係でいい。そう逃げたくなる。