望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「分かった。では行くぞ。美紅ついてきなさい」
「……はい」
美紅はエプロンをぎゅっと握り締めた。
嫌だと思うが、美紅の意見なんて聞き入れて貰える訳がないから、従うしかなかった。
笛吹家は歴史ある日本家屋の御屋敷だ。敷地も建物も広く、伯父の書斎から客間まではかなりの距離がある。
裏庭に面した廊下を、伯父と令華が足早に進んでいく。
その後ろに美紅が続く様子が、硝子窓に映り込んだ。
いかにも上流階級といった装いの夫婦に比べてみすぼらしい自分に胸が痛くなる。
美紅は身長が百五十五センチと平均よりも低いうえに、かなり痩せている。
肩の下で真っ直ぐ切った髪を一つにまとめているだけで、化粧気はなし。貧相という言葉が脳裏に浮かんだ。
倉庫の大掃除をしているときは気にならなかった自分の姿が、今は直視できない。