望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
心の中は不安でいっぱいだけれど、そう答えるしかなかった。
「ああ」
史輝は頷くと用は終わったとばかりに客間を出て行こうとする。
「あ、お見送りを……」
美紅が慌てて後を追うと、廊下にはいつの間にか彼の側近と思われる若い男性がいた。
目が合うと軽く会釈されたがそれだけで、紹介される様子はない。
廊下に立ち尽くす美紅を置いて、ふたりは足早に去って行った。
角を曲がりふたりの姿が見えなくなる。
緊張から解放された美紅は、ふらふらと柱に背中を預けた。
まるで現実の出来事とは思えなかった。
史輝との結婚が決まったことも、明日、長く暮らしたこの家を出て、本家に行くことも。ぼんやりと立ち尽くしていると、バタバタと忙しない足音が聞こえてきた。
「美紅!」
怒鳴るように名前を呼ばれて、美紅は反射的に柱から体を起こす。
近づいて来たのは、従姉の百合華だった。
「あんたが史輝さんの結婚相手に選ばれたって聞いたんだけど、本当なの?」
「は、はい……」
顔を見ただけで百合華がひどく怒っているのが分かる。
「史輝さんが、来てたというのは?」
「本当です。たった今帰られました」
「ええっ?」
「ああ」
史輝は頷くと用は終わったとばかりに客間を出て行こうとする。
「あ、お見送りを……」
美紅が慌てて後を追うと、廊下にはいつの間にか彼の側近と思われる若い男性がいた。
目が合うと軽く会釈されたがそれだけで、紹介される様子はない。
廊下に立ち尽くす美紅を置いて、ふたりは足早に去って行った。
角を曲がりふたりの姿が見えなくなる。
緊張から解放された美紅は、ふらふらと柱に背中を預けた。
まるで現実の出来事とは思えなかった。
史輝との結婚が決まったことも、明日、長く暮らしたこの家を出て、本家に行くことも。ぼんやりと立ち尽くしていると、バタバタと忙しない足音が聞こえてきた。
「美紅!」
怒鳴るように名前を呼ばれて、美紅は反射的に柱から体を起こす。
近づいて来たのは、従姉の百合華だった。
「あんたが史輝さんの結婚相手に選ばれたって聞いたんだけど、本当なの?」
「は、はい……」
顔を見ただけで百合華がひどく怒っているのが分かる。
「史輝さんが、来てたというのは?」
「本当です。たった今帰られました」
「ええっ?」