望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
雨が降ったせいか急に気温が下がり肌寒さを感じるが、忙しく動いていればすぐに体も温まるだろう。

雑然と積み重なった木箱や、古いおもちゃを一つ一つ確認していく。

この倉庫には貴重なものは入れていない。用を終えたけれど捨てづらいものが適当に放り込まれているが、とにかく数が多い。

伯母が昔使っていた絵画セットを見たいと言い出したため片付けながら探しているが、かなりの重労働だ。

この調子ではいつ見つかるかも分からない。明日の引越し準備をしなくてはいというのに。日付が変わらないうちに部屋に戻れるだろうか。

焦りを覚えながらキョロキョロと見回していると、百合華が幼い頃に使っていたと思われるスキー道具などが纏まっている一画をみつけた。

その中に懐かしいものを発見して、美紅は目を瞠る。

「これはあのときの……」

美紅は埃を被った、ピンク色のラケットを手に取った。

これはもともと美紅が、十一才の誕生日に史輝からもらった誕生日プレゼント。

手入れもせずに蔵に入れたきりだったため、すっかり古ぼけてしまっているけれど、美紅にとってはとても大切な宝物だったものだ。


幸せだった頃の記憶が蘇る――。

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