望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「ありがとうございます」

きっと不足などないだろうと思いながら礼をする。

「荷ほどきを手伝いますが、美紅様のお荷物はこちらでよろしいでしょうか」

川田の足元には、美紅が笛吹家から持ってきた、大きな旅行鞄とエコバッグふたつが置いてある。

「はい。でも荷ほどきは自分でできます。あの、気を遣って頂いてありがとうございます」

「……かしこまりました」

美紅の言葉に川田は少しの沈黙のあとに、頷いた。

荷物の少なさに驚いているのか、それとも手伝いを拒否したことを不快に思っているのか。

川田はあまり表情が変わらないので、考えが読み取れない。

「では、一時間程しましたらお迎えに上がります。その際に屋敷内をご案内させていただきます」

「分かりました。ありがとうございます」

深く頭を下げると、川田は少しだけ目を細めてから、部屋を出て行った。

広い部屋にひとりきりになった美紅は、所在なさを感じたが、気を取り直して荷物の整理に取り掛かる。
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