夏に咲く君に、きっと恋する【完】
 それからというもの、授業で顔を合わせているが、私が放課後に教室に残っている日にはかなりの確率で再び顔を出すようになった。

 ーーなんで来たんですか、と聞けるわけもなく、その度に、今日は天気良いねとか、最近はやけに暑いねとか、数回言葉を交わすだけであった。だが、初めて会った日よりは打ち解けていたことに間違いはなかった。

 私が気づかないうちに日和さん、から日和と呼ばれるようになっていて、私は彼が生徒に人気な理由がよくわかった。こんなに誰かと話そうと思うなんて、私にしては珍しい事だったが、それほど、当時の私には分からなかったけれど、何か惹かれるものがあったのだと思う。
< 10 / 24 >

この作品をシェア

pagetop