君のブレスが切れるまで外伝―on a rainyday remember love―
「総一朗、車を止めて。座りっぱなしだから、ちょっと歩きたい」
「はっ。しかしお嬢様。この辺りには何もなく、今にも天気が崩れそうでありますが」
「いいの。ちょっと歩きたいだけだから」


 そういうと車はスピードを緩め、やがて路肩へと止まる。総一朗から扉を開けてもらうと、外へ足を踏み出した。
 さっきよりも天気は悪い。だが、私はそれを気にしているわけじゃない。確かこの辺りに――あった。
 道路の端に立っている青色に赤い斜線の入った標識。これは駐車禁止のマークだったはずだ。


「総一朗、ここは駐車禁止らしいわ」
「ああ、これは確かに……」
「私は待ってるからどこか適当なところに止めてきて?」
「ですが、お嬢様を一人にするのは……」
「ここはそう犯罪の起こらない国なんでしょう? 大丈夫だから」


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