契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 ――と言っても、大袋入りのお菓子やインスタントコーヒーくらいしかない……

「お気遣い、ありがとうございます。ですが――希実さんは少し警戒した方がいいですよ」
「え」

 悩むあまり俯いていた希実に影が差す。
 驚いて視線を上げると、そこにはシートベルトを締めてくれた時と同じようにこちらへ身を乗り出す東雲がいた。

「……っ」

 息を呑む音が、鋭く夜の空気を揺らした。

「僕らは結婚を約束しましたが、一般的な恋人同士とは違う。軽々しく部屋にあげてはいけません」
「は……はい……っ」

 まるでできの悪い生徒になった気分だ。
 諭されて、小刻みに頷くことしかできない。
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