契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
纏まらない思考のせいで希実の体温だけが上がってゆく。当然、顔どころか全身が真っ赤に茹った。
「僕が傍にいることに慣れてください。他人行儀なままでは、飯尾さんの疑惑を晴らせませんよ」
蠱惑的な瞳から眼が逸らせない。魅入られたかの如く、至近距離で二人は見つめ合った。
震える指先がシートベルトを偶然外す。
突如締め付けられる感覚がなくなり、希実は反射的に車のドアを開け外へ出た。
逃げたと言われればそれまで。
だがこれ以上狭い空間に東雲といると、心臓が持たないと思ったのだ。
「お、お、送ってくださり、ありがとうございました……!」
「いいえ。この辺り、街灯が少なくて暗いですね。やはり一日でも早く僕の所へ越してください。心配ですから。それから明日は九時にここで待っています」
何もかも確定事項として決められ、どんどん退路は塞がれていた。
もはや明日希実の両親へ結婚の挨拶をし、その後同居するのは避けられない道だ。
音速が光の速さになるのも間もなくな気がして、空恐ろしい。
「僕が傍にいることに慣れてください。他人行儀なままでは、飯尾さんの疑惑を晴らせませんよ」
蠱惑的な瞳から眼が逸らせない。魅入られたかの如く、至近距離で二人は見つめ合った。
震える指先がシートベルトを偶然外す。
突如締め付けられる感覚がなくなり、希実は反射的に車のドアを開け外へ出た。
逃げたと言われればそれまで。
だがこれ以上狭い空間に東雲といると、心臓が持たないと思ったのだ。
「お、お、送ってくださり、ありがとうございました……!」
「いいえ。この辺り、街灯が少なくて暗いですね。やはり一日でも早く僕の所へ越してください。心配ですから。それから明日は九時にここで待っています」
何もかも確定事項として決められ、どんどん退路は塞がれていた。
もはや明日希実の両親へ結婚の挨拶をし、その後同居するのは避けられない道だ。
音速が光の速さになるのも間もなくな気がして、空恐ろしい。