契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 恐れ戦いた希実は、薄闇の中で蒼白になった。
 よもや自分の眼前で、ドラマもビックリな展開が繰り広げられるとは。
 しかも美女が美男を脅している。
 東雲がどんな選択をしても花蓮は大げさに騒ぎ立てるのは、容易に想像できた。
 おそらく大事にして、一層彼らの仲を周囲へ誤解させるために。

 ――ど、ど、どうしたらいいの……っ?

 望んでもいないのに齧り付きの席ですったもんだを見学する羽目になり、希実の手足が震え出した。
 その上こんな時なのに、トイレに行きたくなってくる。
 さりとてどうすることも許されず、キョドキョドと視線をさまよわせることしかできなかった。

 ――どうしよう……だいたい飯尾さんが私を倉庫に行かせたんだから、ここに人がいると知っているはずじゃないの? だったら連れ込む場所を選んでくれたらいいのに……

< 11 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop