契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
「出てきなさいよ! 盗み聞きなんて下品な――」
「……この倉庫には鼠が出ると聞いたことがあります」
「ね、鼠……っ?」
「ええ。黒光りする虫も出るから、定期的に薬を焚くそうです」
今にも棚の裏側に回り込んできそうだった花蓮が、悲鳴を漏らした。
綺麗好きな彼女は、常々動物や虫が苦手だと口にしている。
仮に生き物が好きだとしても、アノ虫が平気な者は珍しいのではないか。勿論、希実も苦手である。
――く、黒光りする虫ってまさか……ゴ、ゴ、ゴ……
考えたくもない名前が浮かびそうになり、懸命に頭を振った。ただし音がしないよう小刻みに。
そうこうしている間に、何やら二人の様子が変わった。
「こんな不潔なところにはいられないわ!」
「……この倉庫には鼠が出ると聞いたことがあります」
「ね、鼠……っ?」
「ええ。黒光りする虫も出るから、定期的に薬を焚くそうです」
今にも棚の裏側に回り込んできそうだった花蓮が、悲鳴を漏らした。
綺麗好きな彼女は、常々動物や虫が苦手だと口にしている。
仮に生き物が好きだとしても、アノ虫が平気な者は珍しいのではないか。勿論、希実も苦手である。
――く、黒光りする虫ってまさか……ゴ、ゴ、ゴ……
考えたくもない名前が浮かびそうになり、懸命に頭を振った。ただし音がしないよう小刻みに。
そうこうしている間に、何やら二人の様子が変わった。
「こんな不潔なところにはいられないわ!」