契約結婚、またの名を執愛~身も心も愛し尽くされました~
 他人と唾液を混ぜ合うなんて気持ちが悪いはずなのに、蕩けそうな心地になるのは理解できなかった。
 耳朶を弄られ、鼻から漏れ出た呼気が甘く濡れる。
 背筋はこの上なく敏感になり、東雲の指が圧を加えてきたのを生々しく感じ取った。
 逃げ惑う希実の舌は啜り上げられ、粘膜が擦り付けられる。
 口内に性感帯があるなんて、初めて知った。
 呼吸のタイミングが分からなくて息苦しいのに、それすら悦楽の糧になる。
 潤んだ双眸を瞬けば、焦点の滲む距離で彼と視線がかち合った。

「……鼻で呼吸して」

 一瞬唇が解かれて、慌てて深呼吸する。しかしすぐにまた、深く喰らわれた。

「んん……ッ」

 素直に言われた通り緩く息を吐き出せば、『よくできました』と言いたげに頭を撫でられた。
 それが嬉しいなんてどうかしていると思うのに、希実の身体は正直に歓喜を示す。
 すっかり弛緩した肢体は、完全に東雲に身を任せていた。
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